ステップ1:AIを知る(基礎編)

講座①:AIの「なぜ?」と「なに?」がわかるテキスト

ステップ0の冒険、本当にお疲れ様でした! パソコンという頼もしい相棒とすっかり”仲良く”なれたあなたは、もう立派な冒険者です。

さぁ、いよいよこのステップ1から、あなたの創作活動を無限に広げてくれる、もう一人の新しい相棒… 「AI(エーアイ)」との対話が始まります。AIとは一体、何者なのでしょうか? 一緒に、その正体を探る旅に出発しましょう!

第1章:AIは魔法?それともただの計算機? - その正体に迫る

「AI」と聞くと、あなたはどんなことをイメージしますか? まるで人間のように会話したり、人間には描けないような美しい絵を一瞬で生み出したり… その姿は、まるで未来からやってきた「魔法使い」のように見えるかもしれませんね。

結論から言うと、AIは「魔法使い」ではありません。でも…

AIの本当の正体は、「ものすごい量の情報を読んで、そこから『法則』や『パターン』を見つけ出すのが得意な、超優秀な生徒」なんです。

たとえ話劇場:「見習いAIシェフ」の物語

AIの正体を、お料理の世界に例えてみましょう。ここに、記憶力だけが取り柄の見習いシェフ「AIシェフくん」がいます。

  1. まず、私たちはこのAIシェフくんに、世界中のレシピ本(=データ)を、すべて読ませて記憶させます。
  2. AIシェフくんは、全てのレシピを読んだ結果、「トマトとチーズは相性が良いな」といった、数え切れないほどの法則(=パターン)を自分なりに見つけ出します。これをAIの世界では「学習」と呼びます。
  3. そして、私たちが「ナスとひき肉を使った料理を作って!」と注文(=指示)すると、AIシェフくんは学習した無数のパターンから、最高のレシピを提案してくれるのです。

AIは自分で味見はできませんが、人間が一生かかっても読めない量のレシピを知っているからこそ、素晴らしいアイデアを生み出せるのですね。


第2章:AIはこうして”天才”になった - 進化の物語

AIくんの成長の歴史を、古いアルバムをめくるように一緒に見ていきましょう。この物語を知ると、今のAIがなぜこんなにすごいのかが、もっと深く理解できるようになりますよ。

第1期:ルールを教えられた「まじめな優等生」の時代

昔のAIは、「先生に教えられたことしかできない、言われた通りに動くロボット」のようなものでした。人間が全ての「ルール」を、一つ残らずプログラムしてあげる必要があったのです。

第2期:お手本から自分で学ぶ「探求心おうせいな生徒」の時代

ここで革命が起こります。「全部のルールを教えるのが無理なら、お手本をたくさん見せて、AI自身にルールを見つけさせればいいじゃないか!」という、考え方の大転換です。これが「機械学習(マシンラーニング)」の時代の幕開けです。

第3期:人間の脳をマネして"ひらめく"「天才アーティスト」の時代

そして、今、私たちが生きているのがこの時代です。「機械学習」がさらに進化した、「深層学習(ディープラーニング)」の時代です。

【教えて!AI博士】ディープラーニングって、何がすごいの?

一番すごいのは、「物事の、もっと深い『特徴』や『概念』を、自分で見つけ出せる」ようになったことです。「猫の写真」をたくさん見せると、「猫とは、とがった耳と、長いひげを持つ生き物である」という『猫の概念』そのものを、AIが自分で発見できるようになったのです。この「ひらめき」を手に入れたことで、AIは創作活動までできるようになったのですよ。


第3章:AIがもたらす未来 - わたしたちの暮らしの「光」

AIの本当の価値は、人間と「競争」することではありません。人間を「サポート」し、人間の能力を何倍にも引き上げてくれる、史上最高のパートナーになることなのです。

AIは、あなた専用の「超有能なアシスタントチーム」

AIの役割を例えるなら、「一人ひとりに、世界トップクラスのアシスタントチームが付いてくれる」ようなものです。面倒な調べ物や、退屈な単純作業をアシスタントチームが一瞬で肩代わりしてくれる結果、私たちは、もっと「人間にしかできない、創造的な仕事」に時間とエネルギーを集中できるようになるのです。


第4章:【注意点】AIがもたらす未来 - わたしたちが向き合うべき「影」

どんなに便利な道具でも、使い方を間違えたり、その危険性を知らなかったりすると、思わぬトラブルにつながることがあります。AIという新しい火と上手に付き合っていくために、私たちが知っておくべき注意点… つまり、AIがもたらす「影」の側面について、誠実にお話ししたいと思います。

影①:平気でウソをつくことがある(ハルシネーション)

AIは、質問をすると、いつでも自信満々に答えてくれます。しかし、その答えが、全くのデタラメであることが時々あります。これを「ハルシネーション」と呼びます。AIの答えは、絶対に鵜呑みにしてはいけません。必ず、他の情報源で「裏付けを取る(ファクトチェック)」という習慣をつけましょう。

影②:学習した情報を、悪用されることがある

AIとの会話は、インターネット上の、誰もが見られる掲示板に書き込んでいるくらいの気持ちでいましょう。個人情報や、公開されては困る情報は、絶対に入力しない。これが、あなた自身と、社会を守るための大切なルールです。

影③:誰かの権利を、知らずに傷つけることがある

AIが生成したイラストが、特定のアーティストの絵柄にそっくりになってしまったり、AIが書いた文章が、既存の小説の一節とほとんど同じになってしまったり、という問題が起こることがあります。AIが生み出した作品だからといって、完全にオリジナルで、自由に使えるとは限りません。

影④:情報の「偏り(バイアス)」を加速させることがある

AIの教科書は、私たち人間が作った、インターネット上の膨大なデータです。そして、悲しいことに、そのデータの中には、人間の「偏見(バイアス)」も含まれています。AIは、学習したデータの中にある偏見を、悪気なく、そのまま増幅させてしまうことがあります。


第5章:AIと共に歩む未来 - 私たちにできること

AIの時代に、私たち人間にとって最も大切なこと。それは、「AIを、鵜呑みにしないこと」そして「AIに、丸投げしないこと」です。

AIは、あなたの能力を何倍にも引き上げてくれる、史上最強の「道具」であり、「相棒」なのです。

AI時代に価値が上がる、人間の「2つの力」

  • 「問いを立てる力」
    AIは聞かれたことには答えられますが、自分から「どんな作品を創るべきか?」とは問いません。あなたの好奇心や課題発見能力こそが、すべての創造のスタート地点になります。
  • 「想いを込める力」
    AIは美しい文章や絵を創れますが、そこにあなたの実体験からくる「感動」や、誰かを幸せにしたいという「愛情」を込めることはできません。最終的に人の心を動かすのは、作り手の「想い」なのです。

約束③:AIと一緒に「遊んでみる」「試してみる」

新しい友達と仲良くなる一番の方法が、一緒におしゃべりしたり、遊んだりすることであるように、AIと最高の相棒になるための近道も、とにかく実際に使ってみることです。失敗なんてありません。すべてが、あなたとAIとの絆を深めるための、大切なコミュニケーションになります。

知識の地図は、手に入りましたか?

AIの全体像について、本当にお疲れ様でした。
いよいよ次は、そのAIと実際に「対話」する冒険が始まります。

最高の相棒に、最初の「こんにちは」を伝えてみましょう!

ステップ1-② AIとの対話編へ進む
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この記事を書いた人:福祉×AIクリエイター 山本 倫久

就労支援B型事業所の利用者としての実体験を基に、AI技術で福祉の現場に新しい「できる」と「楽しい」を届けることをミッションとして活動中。

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