ステップ3:AIで創る②(音声・動画編)

講座⑯:動画制作【YMM4マスター編】

第1章:YMM4の基本操作 - タイムラインと、素材の配置

VOICEVOXでの監督業、本当にお疲れ様でした!あなたのキャラクターは今、あなたの言葉で、感情豊かに語り始めています。

さあ、いよいよステップ3のクライマックス。あなたがこれまで、丹精込めて創り上げてきた、イラスト、デザイン、台本、音楽、そして声…その全ての「素材」を、一つのキャンバスに配置し、「動画」という、究極の物語へと昇華させる時が来ました。この創造の最終工程を担うのが、無料でありながら、プロの現場でも通用する、奇跡のような動画編集ソフト「ゆっくりムービーメーカー4(YMM4)」です。

【超重要】YMM4のライセンスと2つのバージョンの違い

YMM4には、手軽な「Lite版」と、全ての機能が使える「無印版(フル機能版)」の2種類があります。結論から言うと、この講座でVOICEVOXを使って動画を作る限り、どちらのバージョンでも問題なく、安心して商用利用まで可能です。もし迷ったら、インストールが簡単な「Lite版」から始めることを強くお勧めします!

無印版は伝統的な「ゆっくりボイス」を生成する機能が内蔵されていますが、この音声を商用利用する場合は別途ライセンス料が必要です。この講座では無料で商用利用も可能なVOICEVOXの声を使いますので、Lite版を選んでおけば、将来的に収益化する際もライセンスの心配は一切ありません。

厨房の心臓部「タイムライン」を理解する

動画編集の厨房の心臓部、それが「タイムライン」です。タイムラインは、「物語が流れる、一本の長い道」だと考えてください。左端が「0秒地点(物語の始まり)」で、右に行けば行くほど、時間が進んでいきます。あなたの仕事は、この道の上に、「いつ」「誰が(どの素材が)」登場し、「いつ」退場するのかを、配置していくことなのです。


第2章:視聴者を飽きさせない「カット編集」と「テロップ」の基本

あなたが目指すのは、視聴者を一瞬たりとも飽きさせない、テンポの良い動画を作る「名料理人」。そのための、2つの基本技術を学びましょう。

視聴者を飽きさせない2つの基本技術

  • 技術①:カット編集 - 会話の「えーっと…」を、切り捨てる勇気
    VOICEVOXで作った音声には、言葉と言葉の間に、微妙な「間」があります。この、不要な間を切り詰めて、会話のテンポを良くする作業が「カット編集」です。タイムライン上の音声アイテムを選択し、波形が途切れている「無音部分」に再生ヘッド(赤い縦線)を合わせ、ハサミのマークの「分割」ボタンを押す。この地道な作業が、あなたの動画に、プロのような小気味よいリズムを生み出します。
  • 技術②:テロップ - 心の声を「見える化」する魔法
    キャラクターが話している内容を、文字として画面に表示するのが「テロップ」です。良いテロップの秘訣は、Canvaのデザイン4大原則、特に「対比(コントラスト)」を意識すること。文字に「フチ取り」を付けたり、半透明の「座布団」を敷いたりして、どんな背景でも、誰でも、ストレスなく読める「おもてなしの心」を忘れないでください。

第3章:動画の雰囲気を決定づける「BGM」と「効果音」の挿入テクニック

最高の料理には、最高の「音楽」と「スパイス」が欠かせません。動画におけるそれが、「BGM」と「効果音(SE)」です。

  • BGM - 視聴者の「感情」を支配する、見えない指揮者
    BGMは、ただの飾りではありません。それは、視聴者の感情を、あなたの意図通りに誘導するための、最も強力な魔法です。楽しいシーンには、明るくアップテンポなBGMを。感動的なシーンには、静かで壮大なオーケストラを。
  • 効果音(SE) - 物語に「命」を吹き込む、魔法のスパイス
    キャラクターが驚いた時の「キラリーン!」、重要なポイントを強調する時の「ドン!」。こうした短い「効果音」は、漫画の描き文字のように、視聴者の注意を惹きつけ、物語にリズムと生命感を与えます。

第4章:【最重要】著作権(BGM・効果音・画像素材)と、プロジェクト管理

あなたの厨房は今、最高の食材(あなたのオリジナル作品)と、最高の調味料(BGMや効果音)で、活気に満ち溢れています。しかし、三ツ星レストランのシェフであるためには、料理の腕前と同じくらい、大切な「心構え」があります。

心構え①:著作権 - 他人のお店の「秘伝のタレ」を、無断で使ってはいけない

インターネット上には、「フリーBGM」「フリー効果音」といった言葉で、たくさんの素材が配布されています。しかし、この「フリー」という言葉を、「何をしても自由(Free)」だと勘違いしてはいけません。多くの場合、それは「無料(Free)」という意味であり、そこには、素材を作ってくれたクリエイターさんの想いが込められた、「利用規約」という名の、大切な“取扱説明書”が、必ず存在します。

「DOVA-SYNDROME」や「効果音ラボ」といった素晴らしい無料素材サイトで素材をダウンロードする時、必ず、「商用利用は可能か?」「クレジット表記は必要か?」といった項目を確認する癖をつけましょう。この約束を守ること。それが、あなたを、他のクリエイターへのリスペクトを忘れない、真の「クリエイター」へと成長させてくれるのです。


第5章:あなたの動画を、プロのレベルに引き上げる編集思考法

YMM4厨房での冒険、本当にお疲れ様でした!最後に、技術よりも、もっと大切なことをお伝えします。プロの編集者と、アマチュアの編集者を分ける、たった一つの「思考法」の違い。それは、「視聴者の“時間”という、世界で最も貴重なものを、預かっている」という意識です。

なぜ、ここでカットするのか?なぜ、このテロップを出すのか?なぜ、この効果音を入れるのか?あなたの編集の一つ一つの判断が、視聴者への「最高のおもてなし」に繋がっているか。その問いを、常に自分に投げかけること。その、深く、そして温かい「思いやりの心」こそが、あなたの動画を、ただの映像から、人の心を動かす、忘れられない「体験」へと、昇華させるのです。

あなたの物語は、完成しましたか?

全ての素材を一つの作品へと昇華させる、動画編集の冒険、お疲れ様でした。
あなたはもう、イラスト、声、音楽、そして物語を紡ぐ、総合クリエイターです。

さあ、その素晴らしい技術を、さらに効率化し、表現の幅を広げてみませんか?
次のレッスンでは、これまでの冒険で学んだツールたちを連携させ、作品のクオリティをもう一段階引き上げる、プロの応用テクニックを探求します。

ステップ3-⑤ 連携・応用編へ進む
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この記事を書いた人:福祉×AIクリエイター 山本 倫久

就労支援B型事業所の利用者としての実体験を基に、AI技術で福祉の現場に新しい「できる」と「楽しい」を届けることをミッションとして活動中。

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