ステップ3:AIで創る②(音声・動画編)

講座⑮:動画制作【VOICEVOXマスター編】

第1章:VOICEVOXの基本操作 - あなたのキャラクターに最初の「声」を与える

最高の動画設計図(企画・台本)、完成おめでとうございます!あなたの手の中にはもう、視聴者の心を動かす、素晴らしい物語の種が握られています。

さあ、いよいよ、その言葉たちに「声」という、命の息吹を吹き込む時が来ました。この魔法を実現してくれるのが、完全無料で、信じられないほど高品質なAI音声合成ソフト「VOICEVOX(ボイスボックス)」です。VOICEVOXは、例えるなら、個性豊かなたくさんの「AI声優」さんが所属する、夢のような声優事務所。あなたはその事務所の「監督」として、彼らに最高の演技をしてもらうのです。

VOICEVOX監督業、最初の一歩

  1. VOICEVOXの公式サイトから、あなたのPCに合ったソフトをダウンロードし、インストールします。
  2. ソフトを起動し、画面上部のキャラクターアイコンから、あなたの作品に出演してもらう「声優さん(キャラクター)」を選びます。
  3. 画面中央のテキストボックスに、あなたの台本から、最初のセリフをコピー&ペーストします。
  4. その状態で、スペースキーを押すか、画面下の再生ボタン▶を押してみましょう。

どうですか?あなたの選んだキャラクターが、驚くほど自然な、感情のこもった声で、あなたの言葉を読み上げてくれたはずです!これが、あなたが監督として、AI声優に命を吹き込んだ、記念すべき第一声です。


第2章:プロの調声術① - イントネーションを制し、感情豊かな話し方を創る

あなたが目指すのは、視聴者の心に響く演技を引き出す「名監督」。そのための最初の技術が、言葉の「抑揚」を操る「調声(ちょうせい)」です。VOICEVOXの画面下半分にある、楽譜のような「イントネーション調整パネル」が、あなたの演出の腕の見せ所です。

イントネーションは、“音の階段”である

イントネーションとは、言葉の音の「高さ」の移り変わりのこと。VOICEVOXでは、これを“音の階段”として、視覚的に調整できます。

  • アクセント(山の頂上):グラフの中で、ひときわ高くなっている丸い点。これが、その単語で一番強く発音する「アクセント核」です。この点を上下にドラッグするだけで、言葉のニュアンスが劇的に変わります。
  • イントネーション(階段そのもの):線全体が、音の高さの推移です。この線を、マウスで掴んで、なだらかな坂にしたり、急な階段にしたりすることで、平坦な読み上げを、感情豊かなセリフへと変えることができます。

第3章:プロの調声術② - 「間」と「緩急」を操り、聞き手の心を惹きつける

名監督は、言葉そのものだけでなく、「言葉と言葉のあいだ」、つまり「間(ま)」の演出にも、徹底的にこだわります。「間」を制する者は、動画を制するのです。

【プロの呼吸法】息継ぎと句読点の「間」を操る

聞き手が、今聞いた言葉の意味を心の中で反芻し、感情を整理するための「時間」。それが「間」です。VOICEVOXでは、このプロの呼吸を、簡単に作り出すことができます。

  • 読点(、):セリフの中の読点「、」は、短い息継ぎを意味し、約0.15秒ほどの短い「間」を作ってくれます。
  • 句点(。):句点「。」は、一つの文の終わり。約0.3秒ほどの、少し長めの「間」を作ります。
  • 息継ぎ(ポーズ):もっと長い、特別な「間」を演出したい時は、その場所に半角の「空白(スペース)」を入れるか、「アクセント句の分割」という機能を使います。

さらに、画面下の「話速」スライダーを調整すれば、キャラクターの喋るスピード(緩急)も自由自在。重要なキーワードは「ゆっくり」と、楽しい場面は「速く」話させることで、あなたの動画は、聞き手を飽きさせない、心地よいリズムを奏で始めます。


第4章:【最重要】キャラクター利用規約の遵守と、音声ノイズ対策

あなたは今、プロの監督のように、AI声優から最高の演技を引き出す技術を手に入れました。しかし、名監督であるためには、技術以上に、大切な「心構え」があります。それは、あなたの作品に関わる全ての人への「リスペクト(敬意)」です。

心構え①:声優さんへのリスペクト - キャラクター利用規約の、絶対的な遵守

VOICEVOXのキャラクターたちには、声を担当した実在の声優さんと、キャラクターをデザインしたイラストレーターさんの、血と汗と涙の結晶が詰まっています。私たちは、その素晴らしい才能を、無料で使わせていただいている、という感謝の気持ちを、一瞬たりとも忘れてはなりません。

  • クレジット表記の義務:動画の最後や、概要欄に、必ず「VOICEVOX:[キャラクター名]」というクレジットを表記する義務があります。
  • 禁止事項の確認:キャラクターによっては、個別の「禁止事項」が定められている場合があります。あなたが監督として起用する声優さんが、どんな想いで、どんなルールで活動しているのか、必ず、あなた自身の目で、一度は目を通してください。

このルールを守ることは、あなた自身を、そして、素晴らしい文化を無償で提供してくれているクリエイターの方々を、守ることに繋がります。


第5章:あなたのキャラクターに「魂」を吹き込むために

この工房での冒険、本当にお疲れ様でした!あなたが今日学んだのは、単なるソフトの操作方法ではありません。それは、言葉の抑揚を操り、間の意味を演出し、そして、作品に関わる全ての人へリスペクトを払うという、「魂の演出術」です。

AI声優は、あくまで最高の「俳優」です。その俳優に、どんな表情で、どんな感情で、どんな呼吸で語らせるのか。その演技プランを考え、命を吹き込む「監督」は、他の誰でもない、あなたなのです。

あなたのキャラクターは、歌い始めましたか?

AI声優と共に、感情豊かな「声」を創造する魔法、お疲れ様でした。
あなたはもう、言葉に、本当の意味での「命」を与えることができる、名監督です。

さあ、その素晴らしい声と、あなたがステップ2で創った美しいイラストを、一本の「映像作品」として結実させませんか?
次のレッスンでは、動画編集という、創造の最終工程を探検します。

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この記事を書いた人:福祉×AIクリエイター 山本 倫久

就労支援B型事業所の利用者としての実体験を基に、AI技術で福祉の現場に新しい「できる」と「楽しい」を届けることをミッションとして活動中。

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