ステップ2:AIで創る①(画像・デザイン編)

講座⑧:Photopea入門【AIイラストの仕上げ術】

第1章:なぜ、AI生成の「あと一歩」を埋める作業が重要なのか?

Canvaでのデザイン修行、お疲れ様でした!あなたはもう、AIが生み出した素晴らしいイラストを、魅力的なデザインに昇華させる「伝える力」を手にしています。

しかし、AIとの共同作業を重ねる中で、こう感じたことはありませんか?
「キャラクターは最高なのに、指が6本ある…」「全体の色合いが、なんだかイメージと違う…」「ここに、ひと言だけ文字を入れたい!」
そう、AIは最高のパートナーですが、時々、小さなミスをしたり、私たちの意図を100%は汲み取ってくれなかったりします。

その、AIが残した「あと一歩」の隙間。それを、あなた自身の「手」で埋めてあげることこそが、あなたの作品を、ただの「AIが作った絵」から、「あなたが作った、魂のこもった作品」へと進化させる、最後の魔法なのです。


第2章:【超図解】Photopea工房の歩き方と「5つの神ツール」

Photopeaのサイトを開くと、たくさんのボタンが並んでいて、最初は少しだけ、宇宙船のコックピットのように見えるかもしれません。でも、ご安心ください。私たちが使うのは、その中のほんの数個だけ。工房の歩き方を、一緒に見ていきましょう。

【最重要】「レイヤー」とは、”透明なフィルム”である

Photopeaを理解する上で、一番大切なのがこの「レイヤー」という考え方です。これは、何枚も重ねられる”透明なフィルム”をイメージしてください。

例えば、1枚目のフィルムに「キャラクターの絵」を描き、その上に重ねた2枚目のフィルムに「文字」を書く。こうすることで、もし文字の位置を失敗しても、2枚目のフィルム(文字レイヤー)だけを動かせば、下のキャラクターの絵には一切影響が出ません。作業をパーツごとに別のフィルムに分けて行うことで、修正が驚くほど簡単になるのです。

あなたが最初に覚えるべき「5つの神ツール」

無数にある道具の中から、AIイラストの仕上げに本当に必要な「神ツール」を5つだけ、厳選しました。

ツール名 例えるなら… どんな時に使う?
移動ツール あなたの「手」 レイヤー(フィルム)を掴んで、好きな場所に動かす、基本中の基本の道具です。
魔法の杖ツール 自動選択ハサミ 背景など、同じ色の部分を一瞬で選択(切り抜き準備)してくれます。
消しゴムツール 精密な「修正ペン」 AIが描いてしまった、余分な指や、小さなゴミなどを、ピンポイントで消す時に使います。
文字ツール 万能「テプラ」 好きなフォント、色、大きさで、画像に自由に文字を入れることができます。
切り抜きツール 万能「カッター」 画像全体の、不要な部分を切り落とし、構図を整えたり、サイズを変更したりする時に使います。

第3章:【実践】プロのレタッチ術で、作品を宝石に磨き上げる

さあ、工房の歩き方と道具の使い方がわかったところで、いよいよ実践です!AIが生み出した一枚のイラストを、3つのステップでプロの輝きに仕上げていきましょう。

プロの仕上げ術3ステップ

  • ステップ①:不要な部分を消す(消しゴムツール)
    「このキャラクターの頬に、小さな黒い点がある…」「指が一本多い!」そんな、AIの小さなミスを見つけたら、「消しゴムツール」の出番です。消したい部分を、マウスで優しくなぞってあげましょう。
  • ステップ②:色を、もっと魅力的にする(色調補正)
    「全体的にもう少し、明るくキラキラした感じにしたいな…」そんな時は、色の魔法をかけましょう。画面上部のメニューから「イメージ」→「調整」→「明るさ・コントラスト」や「色相・彩度」を選び、スライダーを動かしながら、あなたの心が「これだ!」と感じる、一番美しい色合いを探してみてください。
  • ステップ③:文字で、作品に「意味」を与える(文字ツール)
    左のツールバーから「T」の形をした「文字ツール」を選び、キャンバスの好きな場所をクリックして文字を入力します。文字レイヤーをダブルクリックすると、「レイヤースタイル」が開き、「境界線」や「ドロップシャドウ」で文字を装飾できます。

第4章:【重要知識】画像の「形式」と「解像度」を制する者は、世界を制する

作品が完成したら、いよいよ保存です。しかし、ここで適切な知識がないと、せっかく磨いた宝石が、くすんで見えてしまうことも…。クリエイターとして絶対に知っておきたい、2つの重要知識を学びましょう。

【プロの物差し】「解像度」と「dpi」って、いったい何?

解像度とは、画像をどれだけ小さな点の集まりで表現しているか、という「きめ細やかさ」の度合いです。そして、その密度を表す単位が「dpi(ドット・パー・インチ)」です。

  • Web用(ブログやSNS):画面で見るだけなので、72dpiあれば十分綺麗です。
  • 印刷用(ポスターや名刺):紙に印刷する場合は、きめ細やかさが重要です。必ず300dpi以上で作成しましょう。

AIはWeb用の解像度で画像を生成することが多いです。この画像を無理やり大きく引き伸ばして印刷すると、ぼやけたカクカクの悲しい絵になってしまいます。この「解像度」の知識は、あなたの作品を守るための、大切な鎧なのです。


第5章:あなたの作品を、”本物”の輝きへ

この工房での冒険、本当にお疲れ様でした!AIが生み出した原石の不要な部分を削り取り、色に深みを与え、言葉で意味を吹き込む。その一つ一つの工程は、AIには決してできない、あなただけの「感性」と「こだわり」の表現です。AIとあなた、二人のアーティストの魂が融合して初めて、作品は”本物”の輝きを放つのです。

あなたの作品は、最高の輝きを放ちましたか?

AIの「あと一歩」を埋め、作品にあなたの魂を吹き込むプロの仕上げ術、お疲れ様でした。
あなたはもう、AIを「共同制作者」とする、真のデジタルアーティストです。

さあ、その素晴らしい技術を、さらに上のステージへと引き上げてみませんか?
次のレッスンでは、よりパワフルで、より本格的な加工ができる、完全無料のプロユースソフト「GIMP」の世界を探検します。

ステップ2-⑦ GIMP入門へ進む
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この記事を書いた人:福祉×AIクリエイター 山本 倫久

就労支援B型事業所の利用者としての実体験を基に、AI技術で福祉の現場に新しい「できる」と「楽しい」を届けることをミッションとして活動中。

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