ステップ2:AIで創る①(画像・デザイン編)

講座④:言葉で描く、魔法の絵画 (ImageFX入門)

第1章:ImageFXとのファーストコンタクト

画像生成AIの心構え、ばっちりですね!いよいよ、あなたの手で、最初の魔法をかけてみましょう。

今回私たちが使うのは、Googleが生み出した「ImageFX」というAIです。ImageFXは、例えるなら「何でも描いてくれる、魔法のスケッチブック」のようなもの。あなたが描いてほしいものを言葉で伝えるだけで、サラサラと素晴らしい絵を描いてくれます。数ある画像生成AIの中でも、特にシンプルで分かりやすいので、最初の魔法を体験するには最高のパートナーですよ。

準備はGoogleアカウントだけ!

「習うより慣れよ」とは、まさにこの時のための言葉。とにかく一度、あなた自身の手で、無から有を生み出す奇跡を体験してみることが、AIのすごさを知る一番の近道です。

  1. まず、Googleで「ImageFX」と検索するか、ImageFXのサイトへアクセスしてください。
  2. Googleアカウントでログインし、利用規約に同意します。
  3. 画面の中央に大きな入力欄(テキストボックス)が表示されたら、そこがあなたの魔法のキャンバスです。さあ、準備は整いました!
    AIは、どんな無茶な注文にも、24時間365日、笑顔で応えてくれますから。

第2章:最初の呪文で、世界に絵を生み出そう

2-1. 最初の“呪文”と、あなたの“初作品”

では、いよいよあなたの最初の作品を生み出しましょう。
肩の力を抜いて、お気に入りのカフェでくつろぐような気持ちで、以下の“呪文(プロンプト)”をコピーして、そのキャンバスに貼り付けてみてください。

最初の呪文(プロンプト)

図書館で本を読んでいる、魔法使いの帽子をかぶった猫、写真のようにリアルなスタイル

入力したら、その隣にある「生成」ボタンを押してみてください。
少し待つと、画面に何枚かの画像が現れたはずです。もし「あなたの地域ではまだ使えません」といった表示が出た場合は、残念ながらまだサービス対象外の可能性がありますので、ご了承ください。

どうですか?

そこにいるのは、あなたが今、たった一行の言葉の力だけでこの世に生み出した、紛れもない“あなたの作品”です。同じ呪文でも、AIは毎回違う提案をしてくれます。その中から、一番気に入った一枚を選んでみてください。それが、あなたの記念すべき初作品です!

【ImageFXが描いてくれるかもしれない絵のイメージ】

薄暗い図書館の片隅で、山積みの本に囲まれながら、小さな魔法使いの帽子をちょこんと乗せた猫が、真剣な眼差しで分厚い本を広げている…。毛並みの一本一本まで、まるで本物の写真のようにリアルに描かれている。


2-2. 言葉を“変える”と、世界が変わる

最初の作品の完成、本当におめでとうございます!
でも、画像生成AIの本当の面白さは、ここからです。料理のスパイスを変えるように、呪文を少しだけアレンジしてみましょう。

先ほどの呪文の最後の部分、「写真のようにリアルなスタイル」という言葉を、例えば「日本のアニメスタイル」「美しい水彩画」「クレヨン画」といった言葉に入れ替えて、もう一度「生成」ボタンを押してみてください。

いかがでしょうか?
同じ「魔法使いの猫」というテーマなのに、全く違う雰囲気の、新しい世界が次々と生まれたはずです。アニメ風の猫はキラキラした瞳で、水彩画風の猫はふんわりとした優しいタッチで、クレヨン画の猫は温かみのあるタッチで描かれていることでしょう。

このように、ほんの少し言葉の組み合わせを変えるだけで、AIが生み出す世界は無限に変化します。これこそが、画像生成AIの面白さの真髄です。


2-3. 【プロンプト集】無限の世界を描き出す呪文たち

あなたは今、AIと対話しながら、新しい世界を次々と生み出す「創造主」になりました。
その創造の翼をさらに広げるために、全く違う世界を描き出すための、いくつかの呪文のサンプルをご用意しました。これらをコピーして試したり、あなたなりにアレンジしたりして、自由に遊んでみてください!

食べ物の呪文:究極のハンバーガー

究極のハンバーガー

とろけるチェダーチーズがたっぷりかかった、肉厚なビーフパティのハンバーガー、広告用の写真、シズル感、背景は少しぼかす

風景の呪文:幻想的な星空

幻想的な星空

静かな湖畔、湖面に映る満月と満天の星空、天の川、幻想的な風景写真、青と紫のグラデーションが美しい

キャラクターの呪文:未来のサムライ

未来のサムライ

ネオンに輝く刀を持つ、サイバーパンクな鎧を着た未来のサムライ、雨に濡れた未来都市の路地に立つ、コミックブックアートスタイル

インテリアの呪文:癒やしの空間

癒やしの空間

大きな窓から木漏れ日が差し込む、観葉植物がたくさん置かれた居心地の良いリビングルーム、北欧インテリア、柔らかな光、写真

どうでしょうか。あなたの言葉一つで、どんな世界でも生み出せるということを、実感していただけたのではないでしょうか。
では、もっと意のままに、もっと繊細に、この世界をコントロールするにはどうすれば良いのか?
次の章で、そのための「伝わる言葉の紡ぎ方」を、じっくり学んでいきましょう。

第3章:「伝わる言葉」の紡ぎ方~プロンプトエンジニアリング入門~

3-1. AIが理解しやすい“良いレシピ”の作り方

ImageFXで、様々な世界を生み出す楽しさを体験していただけましたね。
しかし、時々こんな風に思いませんでしたか?「もっと、こうだったらいいのに…」「なんだか、イメージとちょっと違うな…」

その感覚こそが、あなたが「AIのユーザー」から「AIを使いこなすクリエイター」へと進化する、最高のサインです。

AIに素敵な絵を描いてもらうための言葉(プロンプト)は、プロのシェフに渡す「料理のレシピ」に非常によく似ています。

ただ「美味しいカレーを作って」というだけの、漠然としたレシピ(悪いプロンプト)を渡されたシェフ(AI)は、困ってしまいます。どんなカレーが食べたいのか分からず、結局、ありきたりな普通のカレーしか作れません。

しかし、「鶏肉と夏野菜をたっぷり使い、子どもでも食べられる甘口で、隠し味にリンゴを入れた、彩り豊かなカレーを作って」という、具体的で愛情のこもったレシピ(良いプロンプト)を渡せば、シェフはあなたの頭の中にあるイメージを完璧に理解し、最高の笑顔で、理想の一皿をテーブルに届けてくれるでしょう。

この章のゴールは、あなたが、自分だけの「最高のレシピ」を書けるようになることです。
そのために、あなたの頭の中にある漠然としたイメージを、AIが理解できる「言葉」のパーツに分解していく方法を、一緒に学んでいきましょう。


3-2. レシピの三原色:プロンプトを構成する“3つの魂”

どんなに複雑な絵も、元をたどれば「赤・青・黄」の三原色から成り立っています。
同じように、どんなに素晴らしいプロンプトも、基本的にはたった3つの「魂」となる要素の組み合わせで出来ています。この3つを意識するだけで、あなたの言葉は、AIにとって驚くほど理解しやすいものに変わります。

魂①:【被写体】~物語の“主役”は誰か?~

これは、あなたの絵の中で最も重要な「何を描いてほしいか」という、物語の主役です。ここが曖昧だと、絵全体がぼやけてしまいます。

【基本の例】
女の子スポーツカー

【レベルアップのコツ】
主役を、もっと生き生きとさせてみましょう。「どんな?」という形容詞や、「何をしている?」という動きを加えるのです。

悪い例:女の子
良い例:笑顔で本を読んでいる、長い茶色の髪の女の子

悪い例:
良い例:毛糸玉で遊んでいる、青い瞳の白猫の子猫

このように、主役のディテールを細かく描写することで、AIはより具体的なイメージを掴むことができます。

魂②:【背景・状況】~主役が“生きる舞台”はどこか?~

主役が決まったら、次はその主役が「どこにいて」「どんな状況にあるか」という舞台設定です。これにより、あなたの絵には奥行きと物語が生まれます。

【基本の例】
森の中都会の夜景カフェの店内

【レベルアップのコツ】
舞台を、もっとドラマチックに演出しましょう。「天気」「時間帯」「雰囲気」といった情報を加えるのです。

悪い例:
良い例:ドラマチックな夕焼けを背景に、崖の上にそびえ立つ荘厳な古城

悪い例:都会
良い例:雨上がりの夜、ネオンの光が反射する未来的な都会の路地裏

主役がどんな舞台に立つかで、物語の雰囲気は全く変わってきますよね。

魂③:【スタイル・品質】~どんな“画風”で描くか?~

最後の魂は、作品全体の印象を決定づける、絵の「画風」や「タッチ」です。同じ題材でも、このスタイルを変えるだけで、全く違うアートが生まれます。

【画風の例】
日本のアニメスタイル美しい水彩画ゴッホのような油絵子供向けの絵本のようなイラスト

【写真のようなリアルさを求める場合】
写真のようにリアル映画のワンシーンのようなプロが撮影した広告写真

【品質を高める“おまじない”】
さらに、プロンプトの最後に「高画質」「傑作」「最高品質」「8K」といった言葉を加えると、AIは「なるほど、クオリティを重視すればいいんだな」と理解し、より細部まで描き込んだ、美しい絵を生成してくれる傾向があります。これは、レシピの最後に加える“秘伝のスパイス”のようなものです。


3-3. 実践!3つの魂を組み合わせて、最高のレシピを作る

さあ、3つの魂が出揃いました。いよいよ、これらを組み合わせて、AIシェフに渡す「最高のレシピ」を完成させましょう。
基本は、これらの要素をカンマ(,)で区切って、文章のように繋げていくだけです。

【悪いレシピ 👎】
犬の絵

(AIはどんな犬を描けばいいか分からず、ありきたりな犬のイラストを1枚、ポツンと描くだけかもしれません)

【良いレシピ 👍】

最高のレシピ(プロンプト)の例

ゴールデンレトリバーの子犬が、緑豊かな公園の芝生の上で楽しそうにボールを追いかけている、背景が少しぼけた、暖かく柔らかい光に包まれた写真、高画質

今のレシピを、3つの魂に分解してみよう!

この最高のレシピが、きちんと3つの魂で構成されているか、確認してみましょう。

  • 【被写体】:ゴールデンレトリバーの子犬が、楽しそうにボールを追いかけている
  • 【背景・状況】:緑豊かな公園の芝生の上で、暖かく柔らかい光に包まれている
  • 【スタイル・品質】:背景が少しぼけた写真、高画質

完璧ですね!このように、3つの魂を意識して言葉を紡ぐだけで、あなたの頭の中にある光景は、驚くほど正確にAIへと伝わるのです。

どうでしょうか。たったこれだけの「伝え方のコツ」を知っているだけで、あなたはもうAIを自在に操る「魔法使い」です。
さあ、次の章では、このレシピ作りの技術をさらに高めるために、より本格的なツールに挑戦してみましょう!

【よくある質問】プロンプトって、英語じゃないとダメ…?

結論から言うと、全く問題ありません!まずは日本語で思いのままに楽しんでください。

特に、この講座で紹介しているGoogleのImageFXのような最新のAIは、日本語の理解度が非常に高いです。あなたが普段使っている言葉で、十分に素晴らしい絵を生み出してくれます。

もし将来、海外のクリエイターが使うような、より専門的でマニアックな表現に挑戦したくなった時は、翻訳ツールなどを使いながら英語のプロンプトを試してみると、さらに新しい表現の扉が開けるかもしれません。でも、それはもっと先のお話。まずは、あなたの言葉で、自由にAIとの対話を楽しんでくださいね。


第4章:実践!ブログの「アイキャッチ画像」を創る

基本が身についたところで、早速、実践的なお絵描きに挑戦です!あなたがこれから書くブログ記事の、一番上に飾る「アイキャッチ画像」を創る、という設定で進めますね。記事の内容がパッと見て伝わるような、明るく、希望に満ちたイラストを目指しましょう。

プロのクリエイターでも、一発で完璧な絵を生み出せるわけではありません。AIとの対話を重ね、少しずつイメージを具体化していく、その「試行錯誤のプロセス」こそが、画像生成の醍醐味なのです。

笑顔の若い女性と、フレンドリーで丸みを帯びたデザインのAIロボットが、未来的な明るいオフィスで並んで座っている。彼らは一緒に一つのラップトップ画面を覗き込み、協力して仕事をしている。希望に満ちた雰囲気。シンプルなフラットデザインのイラスト。背景は白。最高傑作。

「フレンドリーで丸みを帯びたデザイン」と具体的に指示することでロボットの印象が変わり、「未来的な」という言葉で背景の雰囲気が一変したはずです。このように、AIとの対話を繰り返すことで、あなたの頭の中のイメージは、どんどんクリアに、そして美しい一枚の絵として結実していくのです。


第5章:あなたの創造性を、さらに広げるために

ImageFXは、シンプルで、誰でもすぐに美しい絵が描ける、最高の入門ツールです。特に、風景画や抽象的なアート、明るい雰囲気のイラストを描くのが得意です。一方で、少しだけ苦手なこともあります。例えば、「複雑な手の形」や「文章のロゴ」を正確に描くこと。また、同じキャラクターを、違うポーズで何枚も描く、といった連続性も、今の時点では少し苦手です。

【重要】魔法の道具の「取扱説明書」を読もう

ImageFXで生成した画像は、Googleの「生成AIの利用規約」に従う限り、商用利用を含め、自由に使って良いとされています。つまり、あなたがこの講座で創ったイラストをブログのアイキャッチにして、そのブログで収益を得ることも、現時点のルールでは認められているのです。

ただし、誰かを傷つけるもの、誤解を招くもの、不適切なものを生成することは、厳しく禁止されています。技術の問題ではなく、人としての思いやりの問題です。あなたが創り出す作品で、誰も悲しませないこと。これがクリエイターとしての大切な心構えですね。

最初の作品、完成おめでとうございます!

あなたの言葉が、世界に一枚だけの美しい絵に変わる魔法、楽しんでいただけたでしょうか。
あなたはもう、自分の頭の中にあるイメージを、いつでも形にできる「創造の力」を手に入れました。

さあ、その力をさらに磨き上げ、あなただけの「画風」を創り出す旅に出ませんか?
次のレッスンでは、プロも使う画像生成AI「Stable Diffusion」の考え方を学び、表現の幅を無限に広げます。

ステップ2-③ Stable Diffusion入門へ進む
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この記事を読んで生まれた疑問や、さらに深掘りしたい点はありますか?AI博士が、あなたの質問に優しく、そして詳しくお答えします。

この記事を書いた人:福祉×AIクリエイター 山本 倫久

就労支援B型事業所の利用者としての実体験を基に、AI技術で福祉の現場に新しい「できる」と「楽しい」を届けることをミッションとして活動中。

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